●20001019 PC切替器のリモコン製作記

【スゴーク便利なものです。】

ウチにCorega Changer KVM-4というPCの切替器がある。
これは、一組のモニタ、マウス、キーボードで4台のPCを操作できるというモノだ。4組のモニタ、マウス、キーボードを揃えるよりも経済的であるし、しかも省エネになる。
少々画質のなまりは認められるが、ケーブルにフェライトコアが仕込んでいない為か画質劣化は意外に少ない。

私がコイツの一番気に入っているところは、自分が移動しなくても4台のPCをガシガシ使えるところにある。
それとPCを間違えなくて済むところがうれしい。例えば、4台あるうちの2番のPCを操作するとして、2番のキーボードをいじっているつもりが実は3番のPCをいじっていることがあるのだ。
間抜けな話なのだが実際にこういうことがあって、別のファイルを弄ったという苦い経験があるのだ。

【その切替方法に難あり】

という訳でこの切替器の切替方法はと言うと、本体のタクトスイッチを押すか、キーボードからホットキーを打ち込むことによって出来る。しかしこの2通りの方法にそれぞれ難があるのだ。・・・つぅか、私の運用スタイルに合わない。

接続図
を見ると、4組の専用ケーブルと1組のVGA/マウス/キーボードのケーブルが切替器に接続されている。
専用ケーブルはそれ自体が平たく太いもので、ツイストペアのLANケーブルのようにクネクネ曲がる訳でもない。また、本体から堅くて太いケーブルを放射状に伸ばす格好となり、これでは設置場所はかなり限定されてしまうのでは無いだろうか?

そのため、切替器は床に置いているPC近傍に設置せざるを得ない。
本体を床に置くと、切替の都度、わざわざボタンを押しに机の下に潜るわけにも行かない。(足でつつく方法があるじゃねぇかって?不器用なの出来ません。)

そうすると、キーボードからホットキーを打ち込む方法しかないのである。
ホットキーのシーケンスはと言うと、
[Alt]+[Ctrl]+[Shift]、[1〜4]、[Enter]
である。[1〜4]というのは、PCそれぞれの接続番号である。
しかし、私の打ち込み方がヘタなせいか、旨くコマンドが認識されない場合がある。そのせいでアクティブなウインドウに[1]、[Enter]などとキーメッセージが送られてしまうのである。
これによってコンパイルが通っていたものが知らぬ間に通らなくなったり、アプリを起動してしまったりするのである。
困ったものである。操作部だけ別体式として手元で操作出来ればベストだと以前からそう思っていたのだ。

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【ないものは自分で作れ!】

この切替器は仕事で使用しているものであり、会社の資産であるので本体を殻割りすることは通常、許されない。
しかし自分が使っている道具でもあるわけだ。道具は自分手になじむようにカスタマイズするのが職人魂ってものではなだろうか?私は自称ソフトウェア職人だ。使いづらい道具など道具と言えないのではないだろうか?
と自問自答の次の瞬間には殻割り作業に取りかかっていた...

切替は手元で出来るようにしたい。そこで本体にリモコンを付加することにした。
ただ、手元にスイッチだけ引っ張って来たところで、私が披露できるC級テクノロジを持ってしても余りに芸が無いと考える。リモコンには今何番のPCに切り替わっているかを表示する装置が必要である。
切替器本体に搭載している4つのLEDの信号をパクって、7セグに数字として表示させるのだ。
表示装置と言うと、ニキシ管を使えば無機質で冷淡な現代のPC環境に少しだけ暖かみが加わるのではないだろうか?
しかし高圧を作るのが面倒だ。そもそも入手難である。ここは7セグLEDで我慢だ。

【切替器の調査】

まず切替器本体について調査した。

●切替スイッチ
 これは単純な単極のタクトスイッチ。2本の線をリモコンに引っ張ればOK。

●LED
 LED周りの回路は単純に考えるとこうであるようだ。
←マウスで描くと辛いな・
 LEDが光るときはTr.がONになるためコレクタから負論理入力で行えばよろしい。
 つまりコレクタの電位が0であるときはON、5Vの時はOFFである。
 切替器にはこれが4組あるので4本の線を引けばOKということになる。

●電源
 この切替機は電源をPS/2から貰っているため、それを利用する。

【切替器の改造】

切替器からは、電源、切替スイッチ、LED4本からそれぞれ線を引く。
LEDの信号線はチップ抵抗に半田付けする必要があるが思ったほど細かい作業でもなかった。

左の黒いヤツが切替スイッチ、真ん中の4本がLED、右側の線が電源
ウラ
Cat-5ケーブルを出す。これがリモコンに繋がる。



【リモコン本体の製作】

リモコンにはPC切替用の操作ボタンとPCの番号を表示する7セグメントLEDを搭載する。
切替器のPC番号表示は4つのLEDランプで行っており、これを7セグの数字表示に変換する必要がある。
この操作は、複数個の標準ロジックICでも可能ではあるが、PICを使えばICは1個で済む。

私の部品箱には巨大7セグ(高さ45mm)しか在庫していなかった為、数字表示がバカでかくなってしまった。
しかしこの7セグに問題があった。巨大が故に、1セグメントに3直列のLEDが2並列モールドされている。(計6素子!)
LEDのVfが1.9Vだとすると、3直列で5.7V。ということは5V電源でピッカリさせることが出来ないのではないか?(電源は切替器(=PS/2)から拝借するため5Vなのである。)
試しに抵抗かまして5V電源をつないで見ると・・・暗ぇ。でも、まぁなんとか使用に耐えられる感じではある。ここは光るかどうか勝負だ。このパーツで強行することに。

リモコンと切替器本体を結ぶ線は電源2本、スイッチ2本、LED信号4本で計8本である。
ケーブル選定に悩むところであるが、すぐにアイデアが浮かんでしまった。
8芯と言えばカテゴリ5のLANケーブルである。これなら3Mでも400円以下で入手できる。
しかも中継コネクタを噛ませば、いくらでも延長可能である。実に安くて便利だと思った。LANケーブルはLANだけに使用されるのは勿体ないとも思えてくる。

PICのソフトウェアは説明するまでもなく、ただ入力ポートの信号を調べて出力ポートに7セグのパターンを出力するだけである。
そのソースオブジェクト(.HEX)

【完成】
ケースは流行を意識してスケルトンにしてみた。と言うのはウソで、こういう小さな電子工作モノは昔からタッパーなどの透明ケースに入れるのが普通である。
少なくとも私は外装の綺麗さはどうでも良い。苦労して作ったのはケースでは無く基板であるからして、その部分が外から見えないというのは自己満足ポイントが低下することを意味する。

上部の黒い箱が切替器、下の"2"がリモコン。LANケーブルでいくらでも延長可能。電源不要!
システム全体図。我ながらまあまあ旨く出来たと思う。リモコンの拡大写真では、

数字がはっきり見えているが、実際は結構暗い。
切替ボタンは右下の水色の部分である。ここを押せば切替操作となり、本体のLEDの信号がこのリモコンの7セグに数字として表示される仕組みだ。
切替ボタンを押すと数字が1→2→3→4→1の順に変化する。
完成した直後はしばらく、1→2→3→4→1→2→3→4→1→2→3→4→1・・・・と大人げなく切替ボタンを押しまくる始末。
そして7セグの反応に酔いしれてしまった訳だが、もし表示デバイスがニキシ管であったらもっと酔いしれることが...いや、それ以上のトロコまで昇華出来たかも知れないと少しだけ後悔したのだった。
ハァ.

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