●  20111104 自転車のスポークを交換:初心者適当流

【スポークが折れた!】

 愛車MTBで走っている時のこと。
 フルーツ公園から石和方面へ緩い下り坂の巡航中、突如後方から「パツーン!」とスポークが叩かれたような感じの音が聞こえてきた。

 降車して確認したけれど、横から見る限りは特段変わったところは見当たらない。
 ホイールを回転させて見ると5mmぐらい振れている。これは明らかに一部のスポークのテンションが緩くなった現象で、折れたのは間違いない。
 ちなみにそいつはどれなのかは、その場では確認せず走行を続行した。

 私のMTBはディスクブレーキであるから、1本ぐらいスポークが折れてホイールが多少振れても何ら支障がないという考えがあった。
 しかし後で考えてみると折れたスポークはその場で外してから走行を続行するべきであった。最悪、走行中スポークが暴れて足に突き刺さっていたかも知れない。
 スポークが凶器になることから、ブラックエンジェルスという漫画の暗殺シーンが脳裏に蘇り、少し寒気がした。

 帰宅後に改めて確認してみた。リア左(ブレーキ側)のスポークが1本折れていて、所謂「首」と呼ばれる部分が破断していた。断面は金属疲労っぽく見える。

 リア左というのはテンションが弱く、荷重による変位量が右側より大きくなりがちで、早くに金属疲労するようだ。

 MTBというのはオフ車であるから段差やジャンプに強く、当然、そのような使い方をしていたので、ロードバイクに比べるとそこに掛かるストレスは大きい。

 スポークというのは、折れたものだけを交換しても近いうちに余所の部分が折れる可能性が高い。
 破断したスポークだけが金属疲労しているとは考えにくく、全てのスポークが程度の差は有れくたびれている可能性は高い。

 そういう訳で、リアのスポークを全て交換することを決意した。また、フリーハブがFH-M475という安物で、そのせいかベアリングが早くにゴリゴリ言って気持ち悪かった為ハブも同時に交換することとした。

【必要なものを揃える】

 ホイールを組むには、ふつう振取台というものを使うが、初めての作業なので当然そんなものは持っていない。
 ちなみに振取台がないと作業が不可能である訳ではないという。
 ホイールを自転車に取り付けた状態で、フロントフォークやチェーンステーに物差しなどをゴムで括り付けて行うという方法で出来るらしい。
 まぁ、薄汚れた自転車を部屋に持ち込むのは抵抗があるし、外はヤブ蚊で作業に集中できないというのもあるし、今道具を買っておけば、家にわんさかとある子供やらの自転車のメンテでいつか使える機会 あるかも知れないという理由もある。そして滅多に使わないであろう工具に投資することを悔やみつつ、振取台としては最安であるミノウラ製FT-1を購入した。

ミノウラFT-1とホイール

 このミノウラ製振取台には、センターゲージがセットになっているものもあるが、あえてセットになっていないものを入手した。
 その理由とは、ホイールを裏返しつつ作業すればセンターに寄せられるのではないかと、単にそう思ったからだ。
 センターゲージがあってそれを使うにしても一旦はホイールを外す必要があり、作業の手間が大幅軽減されるとは思えないので投資効果は低い。と判断した。

 あとは、ニップル回しが必要で、私の場合はいろんなサイズのニップルに使える、環状のものを使った。このタイプはあまりトルクを掛けられないので専用のヤツが良いと思う。

 スポークについては、スポーク長計算サイトの計算式を参考に、計算で得られる結果の通りのものを準備した。

準備した工具・治具
・ニップル回し
・振取台

材料(32穴ホイールで)
・スポーク(左用16本、右用16本)
・ニップル32個
・フリーハブ Shimano FH-M875

スポークについてのメモ
・スポーク長の計算にはハブ、ホイールのスペックが必要となる。この記事を書いた時点ではハブFH-M875の資料がネットに転がっていなかったため、シマノに電話で問い合わせた。
ちなみに、事前に収集した他品種類似品のスペックが参考になり、電話口のシマノのお兄ちゃんがスペックの一部の値を左右反対に言い間違えていたのに気が付いた。そういうこともあるので注意したい。
・スポーク長の計算WebサイトにDT-SWISSなどがある。私はとあるスポーク計算Webページに引っ付いているJavaScriptの計算式を参考にして(パクッたとも言うが)それをExcelに移植して計算した。
・実際に組んでみたところ1mm弱ニップルから突き出したのでこれより1-2mmほど短いのがベストかと思う。どこかのサイトでもそう書いてあったような気がする。
・MTBのハブはフランジがオフセットしているので、所謂オチョコ組みとなる。そしてスポーク長は左右で違うことになるがそれを相殺するようにフランジのPCDが左右で違うため、左右のスポーク長の違いは1mmと、極端には違わなかった。32本同じ長さのを準備しても許容範囲内になると思う。
・通販だとスポークはまとまった数でしか売ってくれないサイトが多いが、1本単位での販売に対応しているサイトがある。私はバイカーズオンラインって所から買い、余分に買わずに済んだため費用は抑えられた。ちなみにHOSHIの安いやつ。「#14 プレーン/シルバー ブラスニップル付き」。見た目は意外に綺麗。


【作業着手!】

 前作業:タイヤ、チューブ、リムバンド、ブレーキディスク、スプロケを外しておく。
 私のMTBは前後ホイール同じ編み方であるので、フロントのホイールを手本とする。編み方以外にテンションも参考とする。
 ニップルを少しずつ分けて緩め、リムからスポークを取り外す。
 新しいハブにスポークを差し込む。左右で長さが違うので注意。
 編み方は手本となるホイールを参考にする。また、編み始めはエアバルブ部の位置に注意する。
 リムにニップル&スポークを取り付ける。編み込みは手本を参考に。
 スポークのネジ部にはグリスを少々塗った。塗る塗らないは色々意見があるようだが私はカジリ防止のために塗った。緩み易いかも知れないが緩んだら締めれば良い。
 リムがハブ軸のセンターとなるよう、ニップルを徐々に締め込む。センターの確認は、振取台を使って左右裏返しながら行う。細かな振れ取りは後で行うつもりで大雑把に。


【振れ取り作業】

 次の1〜3の作業を繰り返し行う。繰り返し行うことでスポークのテンションが次第に強くなり、仕上がりに近づいていく。

1.縦方向の振れ取り
 スポークを締めるとその部分の半径が短くなるが、思ったほど小さくならない場合は反対側を緩める。
 一発目の縦振れ調整は変位量が1mm以内になるまで追い込む。縦方向の振れは横方向程にテンションに敏感ではないため、縦方向の振れがしっかり取れていないと修正が難しいことを意味する。

2.横方向の振れ取り
 左のフランジにつながる方を締めれば左に寄り、右を締めれば右に寄る。
 しかも横触れ以外に、縦振れ、リムセンターが同時に変わるのでその特性を念頭にして少しずつ作業する。

3.リムのセンターの調整
 横振れの振取り作業が進行するにつれて、センターもずれる。
 ホイールを反対にしてニップル締め込みの調整をすることを繰り返しながらセンターを確認する。
 センターを調整するには、左側に寄せるには左側全体を締めるか、右側全体を緩めたりします。

 一旦仕上がったら、スポークをニギニギしてテンションを確認しつつ馴染みを出し、再度振れ取りを行う。

 私の場合、縦振れは0.5mmぐらい、横振れは0.25mmぐらいの振れで作業を終えた。

【作業を終えて】

・ミノウラ製振取台について
 ネットの情報では剛性に不安があるという意見が多く見受けられるが、必要最低限の剛性はあり、それなりの精度のホイールが組めると思う。
 一部樹脂パーツを使うなど、耐久性の点でプロが選択するツールではないであろうが、費用対効果を考えればアマチュア用途ならこれで充分ではなかろうか。
 この振れ取り台では実用ホイールが組めませんという訳ではないし、手間が掛かりすぎるという訳でもない。

・FH-M785について
 前機種FH-M775よりだいぶ低価格になっているが、FH-M475とは比べものにならない程良い感じ。
 ノッチ数はFH-M475より多く、踏み始めの衝撃が緩和され快適だ。ラチェット音は「チーー」っという感じで音量は小さい。コストパフォーマンスは良い。

・作業の難易度
 想定していたより極簡単。時間は3時間ほど掛かったが、部屋の中での作業だから特に苦もない。テレビ見ながら、酒飲みながらというのも良いと思う。


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