ターボを交換してみる(その4)

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ターボを観察・チェック

不具合原因である可能性が濃厚なターボを見た。

タービン側出口

オイル漏れなし

コンプレッサー側入り口

オイル漏れなし

軸のガタツキ
スラスト方向:ほぼ無し
ラジアル方向:

  • タービン:リビルト品より気持ち多い位で、ハウジングとのクリアランスは確保されている。
  • コンプレッサー:リビルト品より明らかに多く、ハウジングには接触痕はないが、クリアランスはほぼ0で接触してもおかしくない位。

メタルやリング類の摩耗によりクリアランスが大きくなったせいでオイル漏れしていると推測するが、オイルパンに戻るべきオイルの一部がインマニに流れていることは間違いない。
リビルト品と比較して明らかにそれが違うことから、交換すべきと判断するのが妥当である。

組み付けの注意点、備考

・第1触媒の組み付け時、ターボと本締めする前に次の作業を行っておくこと

  • 遮熱シート(紙?を銀紙でサンドした軽いやつ)を組み付ける
  • 第1触媒の下部の固定ステーを仮締めしておく
    ※恥ずかしい話だが、この2点をやっていなかったので手戻りとなった。

・締付けトルク管理はきっちり

  • と行いたい所だが、トルクレンチが入らない場所が多々あったのでそこは俗に言う手ルクレンチで行った。
    今回の重要な部品であるタービンの排気側のナット9個、排気管はすべてトルクレンチが掛けられるのでそこは問題なかった。
    トルク値については、CX-7の値を準用した。
    CX-7については、整備書がネット上に見つかったのでその情報を有り難く利用させて貰った。

・ベルトのオートテンショナーの劣化?

  • テンショナーはバネの力でプーリー位置を変えることによりベルトに張りを与えている。
    弛緩用ボルト(プーリ固定ボルト兼)を右に回転させてプーリーの位置を戻すのだが、すこししか戻らない。400mm長のレンチで渾身の力を入れても、だ。
    レンチの柄がしなり、ついにレンチのラチェット部が壊れてしまった。
    プーリーは少し動いたのたが、不思議なことにレンチの力を緩めてもプーリーは動かない。
    反対方向にトルクを掛けるとグググっと渋々戻った。
    この手のテンショナーは制動的な機能も付加されているらしいが、それにしても渋すぎる。というか、戻らないのはまずい。ベルトがタルタルのままになってしまう。
    交換が最善策であるが、パーツクリーナーで汚れを落とし、グリーススプレーを少し吹いて組み付けた所、割とスムーズに動くようになった。
    その状態で組み付けして様子を見ることにした。
    ちなみにテンショナーのお値段は2万円弱で、機能の割にはお高いのねという印象。問題があったら交換ということで今回は見送り。

最終作業

最後に、バッテリーターミナルを接続、クーラントをリザーバーとも満タンにし、オイルを入れ、エンジンを掛ける。
しばらくしてエンジンルームからうっすら煙が出る。

次に、メーターの警告灯が点灯していないか確認すると、TCS,VSCの警告灯が点きっぱなしになっていた。
これは、ハンドルを右に一杯、左に一杯切り、キーをOFF->ONにして解除した。舵角センサーのキャリブレーションか?
(取説に説明あり)

ラジエーターキャップを開けっ放しにしておくと、配管内のエアも一緒に循環し、投入口から空気とLLCが溢れてくる。
アイドリングは10分で終了させる。
この時点ではエア抜きの作業は行わない。というのは、エア抜きの作業でエンジンをある程度高回転にする必要があるが、
ターボ交換直後はエンジンを高回転にしてはいけないというのがリビルト屋さんの指示だからである。

エア抜きは様子を見ながら短距離を走った後、エンジンが冷えてからLLCを継ぎ足すという方法を繰り返して行った。

■整備書に掲載しているエア抜きの方法

  1. リザーバーはMAXまで、ラジエーターは首の部分までLLCを入れ、両方のキャップを締める。
  2. エンジンをアイドリングで暖機する。
  3. 暖機が終了したら、次の(1)(2)を何回か繰り返す
    (1)エンジンを5000rpmで1分間持続
    (2)エンジンをアイドリングで5秒持続
  4. ヒーターを最高温、最強風にして高温の風が出てくることを確認する
  5. エンジンを止め、エンジンが冷めた後にLLCのレベルを確認、減っているようであれば、1.に戻って作業を繰り返す。

【試走、各部チェック】

キーを廻すと数回のクランキングで普通にエンジンが掛かり、各計器に注意しながら試走した。
最初は過給の少ない2000rpmまでに抑えて走行、ホースの状態も特に問題なさそう。オイルの焼ける匂いで臭い。
次は坂道を少し早足で走ってみる。特に問題はない、急加速も問題ない。
当たり前だが交換前とフィーリングは変わらない。

外れないボルト、外しにくいボルト、作業ミスによる手戻り、手や腕に小傷、色々と手間取って足掛け6日も掛かったが、以前のように煙を気にして乗ることを躊躇う必要も無くなった。
完全復旧し、2年以上は問題なく走れるだろう。

整備を終えて

この作業はかなり時間がかかり難儀したのだが、整備しづらさの比較はと言うと、

この車 >>> 三菱ミニキャブ >(車とバイクの壁)> スクーター > モトクロッサー >(バイクと自転車の壁)> ママチャリ > 競技用MTB
順番は当然ながらも、MPVは後方排気、4WDというメカニズムでダントツで整備しづらかった。
エンジンルームへの手の入れづらさ、隙間の無さ、固着ボルト・ナットに愕然として、途中で作業を中止することを検討した程だ。

仕事と言えどこんな車両を弄る整備士の方、ハーネス/パイピングなどのレイアウトを設計する技術者には感服するばかりだ。

何はともあれ、無事完了して良かったという他はない。

高速道路を含む、1000キロ走り終えたが特に問題は無く無事に修理は完了と言えそうだ。

資料

交換部品

・ターボチャージャー(リビルト品で、後でコア材を返却)

  • Amazonで購入(6万2千円)

・ガスケット類

  • ターボの排気IN/OUTのガスケット(2枚)
  • オイルパイプINのガスケット(2枚)
  • オイルパイプOUTのガスケット(2枚)
  • 水パイプINのガスケット(2枚)
  • 水パイプOUTのガスケット(2枚)
    全部で1.5万弱。MonotaROで購入

整備書でリプレイス[R]と書かれているにも関わらず再利用した部品

・ターボチャージャーと排気管を固定するスタッドボルトを締めるナット(9個)
・中間パイプの両側のガスケット,リング

油脂類

・エンジンオイル(5L弱入った)
・クーラント(5L位入った)
オイルはペール缶で(5W-30)、クーラントは10L分買い、総額1万円弱。
大分余るので他の車などに利用する。

活躍した主な工具たち

・ハンドツール

  • 8mm,10mm,14mm,17ソケット(標準、ディープ)
  • エクステンションバー(9.5,12.5sq長さ250mm,100mm)
  • ラチェットハンドル(首振り)
  • 9.5,12.5sqボールジョイント
  • 9.5sqユニバーサルジョイント
  • 17mm片口メガネ(ターボ水INボルト脱着)
  • 14mmギアレンチ400mm長首振り(狭い場所での鬼トルク固着ボルト外し、ベルト弛緩)
  • 8mmギアレンチ首振り(遮熱板等の脱着)
  • Uの字型の13mmメガネレンチ(インタークーラー固定ステー)
  • トルクレンチ

    外れない外せないボルトナットの為に新しく買ったのは上記の一部であるが総額は2万円ぐらい。

・エアツール

  • コンプレッサー
  • エアインパクト(600Nmクラス)
    固着ボルトについては、インパクトで回せるものは遠慮なくこれで外した。
    ホイールナット外し、仮締めなど
  • エアラチェット
  • ダスター

・馬(ジャッキスタンド)
今回はフロントに2個使用。

・フロアジャッキ
今回は2tのものを使ったが明らかに容量不足で、お椀の大きな2万円以上クラスが欲しいところだ。
オイルパン持ち上げ用の当て木も使用。オイルパンに直接ジャッキを当てると割れそうなので。

・ペン型のCOBLEDライト
アストロプロダクツで700円ぐらいで購入。単4*3本で光る。
昼間でも暗くて見えない箇所があるため、細身のランプは使い勝手が良い。
お尻の部分が磁石になっていて、鉄部にくっつけてぶら下げることが出来るが、
狭いところにボルトを落としたときはこの磁石で救い上げることができ重宝する。

・捕虫網
ヤブ蚊が時折出没し作業に集中出来ないので網で確実かつ迅速に捕らえ退治を繰り返す。
奴らは満腹になるか退治されるまで襲い続け、刺されたら猛烈に痒いのでタチが悪い。

ケミカル類

・ラスペネMINI
・パーツクリーナー

整備書

・CX-7のを参考

検索キーワード

【ターボ交換作業(動画) 】
GTX3071 Turbo install on Mazda 6 MPS (the full version)
Mazda MPS 6 Dump Pipe Install
Tim Walterさん、有難う。

【ターボ故障判断 】
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【CX-7整備書 】
mazda cx-7 manual WU-TWC

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