●  20111210 軽トラのクラッチ交換


【組み付け作業】


クランクリアオイルシールを交換する

     オイルシールは、マイナスドライバーが入る分だけリップの部分をカッター等でくり抜き、そこに先っちょを突っ込んでこじるという方法で交換する。
    ・・・という事を後で知った訳だが、オイルシールの当たり面さえ傷つけなければ良いという考えで、オイルシールにドライバーを差し込み何とか古いシールを取り外したのであった。

     新しいオイルシールのリップ部には、普通のグリースを塗っておく。
    打ち込みの際には、古いオイルシールを間に挟んでゴムハンマーで均等に挿入されるようにする。
    深さは、ハウジングとツライチというのが目安となる。

    クランクリアオイルシール:交換後

パイロットシャフトベアリングの交換

     フライホイールに嵌っているこのベアリングには、ミッションのパイロットシャフトが刺さる。
    従ってクラッチを切っている場合のみ働くことになるが、さすがに12万キロではガタが出る。
    クラッチの交換ではいわゆる3点キットに加えてこのベアリングも同時に交換することとなる。

     コイツは、フライホイールに簡単に外れない程度のキツさで圧入されている。
    だが、ちょうど良いサイズのプーラーは持っていなかった。

    そこで、ベアリングのアウターよりちょい小さいサイズの六角ソケットを準備する。
    これが無い場合は、それに相当するものを用意しなければならない。
    そして六角ソケットをベアリングにピッタリとあてがいゴムハンマーで叩いて、ベアリングを脱着した。
    パイロットシャフトベアリング:交換後

     新しいベアリングの挿入深さはツライチとした。

     ちなみにこのベアリングをグリスアップするべきかどうかなんだが、私はグリスアップしなかった。
    グリスアップには黒いシールドを外す必要があり、傷つけてしまう可能性があるのでそこまではしなかった。

フライホイールの取り付け

     まず、取り付けボルトを清掃しておく。
    そして、ネジロック剤を塗布する。シール材でも良い。整備解説書にはその旨記載されている。要は緩まないことが重要である。
     回り止めをした上で、対角線の順で徐々に規定トルクまで締め付ける。
    フライホイール取り付け完了

     最後は締め付けの確認を行う。走行中外れたら非常にまずい。

クラッチディスク&カバーの取り付け

     クラッチディスクとカバーをフライホイールに付ける訳だが、クラッチディスクはただ単にカバーとフライホイールに挟んだ状態で取り付けられる。
    そのため、クラッチディスクの軸が後から差し込まれるミッションのパイロットシャフトと同軸上に位置しないと、ミッションを差し込むことが不可能となる。

     このクラッチディスクを同軸上に合わせる作業を所謂センター出しと言っている。
    通常は、専用の錐状の工具をクラッチディスクのスプラインとパイロットシャフトベアリングに差し込みながら、クラッチカバーを取り付けることで行う。

     しかしここでは、瞬間接着剤を使った方法を実施した。
    クラッチディスクに瞬間接着剤を4か所、点状につけて、クラッチカバーの中心に接着した。目視センター出しだ。
    接着完了

     このようにしてクラッチカバー&ディスクを取り付けた。
    ちなみに後で、4か所の接着は多すぎるということが分かったのだが..

ちょっと休憩

     おもむろにミッションの後部にあるマウントの状態を見てみると
    ミッションマウントが・・・

     厚みの薄い部分は切れていて、それ以外の部分はひび割れ状態。交換した方がよさそうだ。

     ついでにエンジンマウントをチェックすると、何故かヒビ等は確認されず良好な状態であった。見た目も新しいので一度は交換されているのかも知れない。

ミッションの取り付け

     ミッションは軽いと言えども20kg弱、仰向けの状態で抱きかかえ、腕と膝の力だけでクラッチスプラインに差し込んだ。
    一連の作業の中で一番力を必要とする作業だったが、特に苦も無くすぐに刺さった。

     次にベルハウジングのボルトを締める。
    全てのボルトの締付けが終わったら、念の為に締忘れが無いかを確認する。
    ミッション取り付け完了

ペラシャの取り付け

     こいつが走行中に外れると非常にまずいことになるため、ボルトにネジロック材を塗布して締め付ける。
    これも締め付けの確認を行う。

    ペラシャ取り付け完了

ミッションのコネクター、リンケージを取り付ける。

     ボンディングワイヤーの取り付けも忘れずに行う。
    あと、クラッチペダルの調整ナットを適当に調整する。アウターケーブルを下に引っ張りながら、ゴムの部分に当たるまでナットを手で回して上に移動させる。工具は必要ない。

    リンケージ戻し完了

オイルを入れる

     このミニキャブには、硬い20W-50を入れている。オイル消費が比較的多く、クリアランスが大きいと思われるからだ。
    真冬ではクランキングが重いが、始動は全く問題ない。

LLCを交換

     LLC交換は冷間時に行う。LLCは汚れていなかったので今回は洗浄しない。リザーバータンク内のLLCもそのままにしている。

     まず、エア抜きプラグとドレンプラグの下にバケツを置き、エア抜きプラグを外す。するとLLCが少し垂れる。
    次にドレンプラグを全開にし、ラジエーターキャップを外す。すると勢い良くLLCが出てくる。
    抜けた量の重さを計ったら3.4kg位あった。
    LLC抜いています

     ドレンプラグから垂れが止まったら、ドレンプラグを締める。
    エア抜きプラグは開けたままで、LLCを原液で注ぐ。注入量は1.5〜2L位を目安にしている。
    しばらく注入すると、エア抜きプラグからLLCが漏れてくる。
    そのままだとLLCがダダ漏れして勿体無い。漏れてきたらすぐに注入を一旦止め、エア抜きプラグを締める。
    続けてLLCを前述の目安量まで入れる。

     入れている最中は、ラジエーターキャップまであふれそうになるが、しばらくするとポコポコと音を立ててLLCが落ちていく。
    LLCが目安量まで入ったら今度は水道水を入れる。
    これ以上入らなくなりそう、という状態になったら、ラジエーターキャップを締める。

     ここからはエア抜き作業となる。
    エンジンを始動し、アイドリングさせる。
    アイドリングの期間は、水温が安定するまでだ。
    水温計の半分程度でサーモスタットが開き安定するのでその温度になるまでということになる。
    次に、アクセルペダルをちょい踏んで3000rpm位を1分間、アイドリングを30秒間、というのを10セット程度行う。
    それが終わったら、エンジンを止め、完全に冷えるの待ち、ラジエーターキャップの部分まで水道水を入れる。
    これでエア抜き作業は一応終わりとなる。
    後日、走行後エンジンが冷えた後、LLCの量をチェックして、キャップの位置までたまっていなかったら水道水を補充する。

次ページ:作業完了、いよいよ試走へ...



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